左の前歯(写真の向かって右側)が、ぐらつくとのことで来院された患者様です。
治療前の写真です。
前歯2本の歯ぐきが上がってしまい、歯の根が見えているのがわかります。
また真ん中から右の歯の歯ぐきが若干高い位置にあります。
実際に写真右側のかぶせ物を触ってみると、かぶせ物が動き歯が折れていることが疑われました。
ただレントゲンでは根が大きく割れたり、感染し、歯を支える骨がとけているようなこともありませんでした。
歯の破折の場合、どこで折れてしまったかで、治療方針が大きく異なります。
歯の頭が折れていただけであれば、かぶせ物の治療だけですみますし、逆に根の深くまで折れてしまった場合は抜歯の可能性があります。
歯ぐきの少し中で折れてしまった場合は様々な治療を施すことで、歯を保存することが出来る可能性があります。
かぶせ物を取ってみると、歯ぐきの中1ミリほどのところで歯が折れてしまっていました。
この状態では歯ぐきが邪魔をしてかぶせ物が作れませんし、歯ぐきを大きくカットすると歯ぐきの位置の左右差がさらに出来てしまい、見た目が悪くなります。
またかぶせ物を作る原則として、歯ぐきから歯の質が全周2ミリ見えていないと、かぶせ物の予後が大幅に悪くなってしまいます。
そこで患者様と相談した結果、歯を引っ張り上げるMTM、その後骨の形態、歯ぐきの形を整えるクラウンレングスニング、かぶせ物としては真ん中左右をセラミックで治療することとしました。
写真の様に装置を装着し、まずは歯を引き出します。
下が2か月後の写真です。
歯が下に動き、それに伴い歯ぐきの位置の左右差もなくなってきました。
さらに1か月待ったところです。
歯がだいぶ出てきて、今度は逆に右側の歯ぐきが左より下側にきているのがわかります。
この状態で、骨の形を整え、歯ぐきの左右差を整える、クラウンレングスニングを行いました。
術直後の状態です。
クラウンレングスニングは術後もほぼ、痛みなどは出ず、簡単に行える手術です。
歯ぐきの回復を待つ間に神経の治療を行いました。
歯ぐきの状態が整った後、前歯2本にセラミックをかぶせました。
術前↓
術後↓
湘南つばめ歯科
院長 松崎 等