治療例:歯の根の治療(根管治療)

以前ダイレクトボンディングの症例を提示させていただきましたが、今回はむし歯の感染が神経まで到達してしまった場合や、過去に神経の治療を行っているが再度感染してしまった歯についてです。

むし歯が神経まで到達しまった場合(下の写真のような状態)、自発痛とよばれる何もしていない状態でも強い痛みが出てきます。

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そうなってしまうと年齢や感染の度合いなどケースによりますが、感染している神経の部屋の清掃をしてあげないといけない場合があります。

また過去に神経の治療を行っている歯であっても、神経の部屋で再度感染が起こり始めると菌が根の先に到達し、骨がとけはじめます。

この場合あまり痛みは起こりませんが放置してしまうと、例えば体調を崩した時や疲れがたまった時など、抵抗力や免疫力が下がったときに強い痛みや腫れを引き起こします。(この症状に当てはまる方は歯科の受診をおすすめいたします)

よく歯ぐきがぷくっと膨れていつの間にか治ってたまに繰り返す方も、この状態に陥っている可能性が高いです。

骨が溶けそこにたまった膿が出ると歯ぐきが治り、またたまると膨らむのです。

一度神経を取った歯は体の抵抗力が一切働かな場所になり、中を清掃しない限り勝手に治ることはありません。

今回のケースは他院で以前神経の近くまでむし歯を取り除き、神経を保護する治療を行ったものの、残念ながら菌が神経の部屋まで到達し、痛みはないものの歯ぐきに膿の袋が出来ていたものです。

かぶせ物を除去した後のレントゲン画像で、真ん中やや右の歯になります。

10-6-5 右上6Per R1

まず神経の部屋まで器具がアクセスできるように削ります。

その後ファイルという器具と薬液を使い感染している歯の内側の壁を削り、中に薬が入る大きさに整えます。

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そこまで完了したのが下の写真です。

左上、左下、右側と3つの神経の管が黒く見えます。

左上の神経の管は最初入口が3つありましたが、清掃していくとなかですべてつながっているのがわかり、大きな1つの穴に整えました。

10-7-13 根治中 S2

最後に免疫力の働かない神経の部屋で再感染が起こらないように通路を封鎖する薬を流し込みますが、根の先までしっかり薬を入れてあげないと再感染の原因になります。

次が薬を入れ終えた後のレントゲン写真です
薬が根の先からわずかに出ており、薬が根の先まで到達しているのがわかります。

10-8-10 根充後 R4

この神経の治療ですが、実は大変難しい治療です。

神経の管は1本に見えますが、かなり細かく枝分かれしており、そこに残った菌が原因で再度問題を起こすこともあります。

またかぶせ物の治療と違い、患者様からしたら初回は治療したことによって痛みが消えたりするので喜ばれますが、その後は見た目も変わらない治療をなんで何回も受けなきゃいけないのかと思われるかもしれませんが、ミクロン単位の細かい治療が歯の中で行われてます。

これがうまくいかないと、いくらいいかぶせ物を入れようが、しっかり歯を磨こうが問題が起きてしまいます。

歯周病の治療と同じで歯の基礎となる治療。

「耐震偽装」にならないよう、しっかりとした治療をする必要があります。

湘南つばめ歯科
院長 松崎 等

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