歯科でかぶせ物を作る時、その予後を左右するものに「フェルール」というものがあります。
皆さんは聞きなれない言葉だと思います。
フェルールとは、かぶせ物を作るために歯を削った場合、歯ぐき側の削った縁からの歯の質の量を言います。
言葉だと説明しにくいのですが、絵で見るとわかりやすいと思います。
かぶせ物を作る際、このフェルールが高さで2ミリ、幅で1ミリ必要と言われています。
これが得られないと、唾液などの汚染によりかぶせ物が取れてしまったり、土台や歯が折れてしまうリスクが高くなるのです。
実際に治療をしていると、虫歯などにより、なかなかこのフェルールが得ることが難しいケースがあります。
こんな話、初耳かもしれません。
実際フェルールがなくてもかぶせ物は作れます。
なのでそのままかぶせ物を作ってしまっているケースもあるかもしれません。
私はフェルールが得れない場合、患者様にはお話しします。
予後が悪くなる可能性もお伝えします。
そしてこのフェルール、改善する方法もあるのです。
一つは歯を引っ張り出すことにより改善するMTM(小矯正)。
もう一つは骨の形を整え、歯ぐきの位置を下げ、相対的に歯の高さを稼ぐ、クラウンレングスニング(歯冠長延長術)。
次回は実際の症例でご説明いたします。
湘南つばめ歯科
院長 松崎 等